オレン・ライオンズ氏
「地球は無限の時間を持つ一方、我々はそういった時間を持たない」
オレン・ライオンズ氏(Oren Lyons)はオノンダガ国のタートルクラン(Turtle Clan)の宗教伝道者であり、イロコイ・オノンダガ6ヶ国連盟(「ロングハウスの人々」を意味したホーデノショーニーとも呼ばれる)のチーフでもある。宗教伝道者としては伝統、価値、歴史記録の維持を担い、またGai Eneshah Go' Nahというイロコイ平和宗教を守るための活動を行っている。
1930年に生まれ、ニューヨーク州北部にあるセネカとオノンダガ居住区で育てられた。1958年にシラキュース大学の芸術カレッジを卒業後、数年に渡り、商業的な芸術家として働き、成功を収めた。その後、『ノルクロース挨拶状出版社(Norcross Greeting Cards Company)でアート計画ディレクターになり、社内で200人の芸術家スタッフをマネージした。そして、1970年にオノンダガ居住区に戻る事を決意した。
モスクワ市で開催された『人間が生存していくための精神指導者地球総会(Global Forum of Spiritual Leaders for Human Survival )』でキーノートスピーカーになり、1992年に国連総会で講演するために招かれ、ニューヨーク市にある国際連合プラーザーで開催された「世界の先住民の国際年」のイベントで最初のスピーチをした。また1991年に米国のPBSで放送された1時間ドキュメンタリー番組で彼が取り上げられた。
1992年に彼がジョン・モホークと共同編集した『自由の地での亡命:民主主義、イロコイ同盟と合衆国憲法(Exiled in the Land of the Free: Democracy, the Iroquois and the Constitution)』は、アメリカ植民地がイロコイ連合をモデルとして、合衆国の民主主義を形成したという彼の思想を論じている。1982年には国連の原住民を支援するグループを設立し、15年以上もの間ジュネーブ市での国連人権委員会に支援されている原住民会議に参加してきた。
1990年にライオンズ氏はエリス島名誉勲章(Ellis Island Congressional Medal of Honor)を受賞した。その翌年、イロコイ連合を南アメリカで行われた国連環境会議に派遣した。1990年のオカ騒動の際には、カナダとケベック州の政府とカネサタケ市(Kanesahtake)のモホーク族間の交渉を担当した。また彼は原住民の年長者団体のメンバーであり、その団体は北アメリカの原住民族で成り立っている。
彼はシラキュース大学から名誉法学博士号を取得し、ニューヨーク州立大学バッファロー校でアメリカ先住民学を教えている。また、国内外における,アメリカ原住民地位向上のための講演などに数多く参加している。
趣味としては、青年期に彼はアメリカラクロスの選手であり、イロコイ連合ラクロスチームの名誉チェアを務めている。1993年には、アメリカラクロスの殿堂入りをはたした。